介護保険で福祉用具を借りる流れ|申請から使い始めた後まで7ステップ

介護保険で福祉用具を借りる流れのアイキャッチイラスト 基礎知識・用語集

「退院の日が決まって、介護ベッドを借りたいと言われた。でも、何から始めればいいのか分からない」。介護保険で福祉用具を借りるのは、ほとんどの家族にとって初めての手続きです。

介護保険のレンタルは、お店で申し込めばすぐ届く、というしくみではありません。要介護認定を受け、ケアマネジャーにケアプランを作ってもらい、福祉用具専門相談員と一緒に用具を選ぶ、という順番があります。

この記事では、福祉用具専門相談員として働く私の立場から、その流れを7つのステップに分けて整理しました。

この記事でわかること

  • 介護保険で福祉用具を借りるまでの7つのステップ
  • それぞれのステップで、家族がすることと専門職がすること
  • 契約前に説明される「全国平均貸与価格」や「福祉用具貸与計画」とは何か
  • 認定結果が出る前に借りるときの注意点

先に結論

  • 最初の窓口は市町村(要介護認定の申請)。次に、ケアマネジャーに「福祉用具を借りたい」と相談します。
  • 用具は、福祉用具専門相談員が体の状態や住まいを確かめてから提案し、計画書と契約を経て届きます。
  • 届いた後も、定期的に見直しがあります。合わなければ交換の相談ができます。

介護保険で福祉用具を借りる流れ

ステップ誰が何をする
1. 要介護認定の申請本人(事業所などに代行してもらえる)市町村に申請。調査と主治医の意見をもとに、原則30日以内に結果が出る
2. ケアマネジャーに相談本人・家族、ケアマネジャー福祉用具を借りたいと伝え、ケアプランに入れてもらう
3. 自宅で確認・用具の提案福祉用具専門相談員体の状態・住まいを確かめ、複数の用具と価格を説明する
4. サービス担当者会議ケアマネジャー、各サービスの担当者、本人・家族ケアプランの内容を一緒に確認する
5. 計画書に同意・契約福祉用具専門相談員、本人・家族福祉用具貸与計画と重要事項の説明を受け、同意して契約する
6. 納品・調整・説明福祉用具専門相談員点検した用具を届け、体に合わせて調整し、使い方を説明する
7. 見直し(モニタリング)福祉用具専門相談員、ケアマネジャー使い始めた後も状態を確かめ、必要なら計画や用具を変える

表は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムの解説と、介護保険法・運営基準の条文をもとに作りました(2026年10月時点の制度)。くわしくは各ステップで説明します。

ミライ
ミライ

え、7ステップもあるの!?ベッドを1台借りたいだけなのに、気が遠くなりそう…。

ススム
ススム

表にすると多く見えるよね。でも、全部を家族だけでやるわけじゃないんだ。どこで誰に声をかければいいかだけ、先に知っておいて。

要介護認定の申請とケアマネジャーへの相談

申請書類を前に、どこへ相談するかを話し合っているイラスト

介護保険で福祉用具を借りるには、まず「介護が必要な状態か」を市町村に認めてもらう必要があります。そのうえで、ケアマネジャーに相談して、福祉用具をケアプランに入れてもらいます。

ステップ1 要介護認定を申請する

申請先は、住んでいる市町村です。申請には介護保険被保険者証が必要です。本人や家族が窓口に行けないときは、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などに、申請の手続きを代わりにしてもらえます。

申請してから結果が出るまでは、次の3つが行われます。

  • 調査:市町村の調査員などが自宅や施設を訪ねて、体や心の状態、暮らしている環境を調べる
  • 主治医の意見:市町村が主治医に、病気やけがの状況について意見を求める
  • 判定:調査と主治医の意見をもとに介護認定審査会が審査し、要支援1・2、要介護1〜5のどれに当たるかを判定する

結果は、申請した日から30日以内に出すことになっています。ただし、調査に時間がかかるなどの特別な理由があるときは、市町村から「あとどれくらいかかるか」と理由の通知が届き、延びることがあります。

ステップ2 ケアマネジャーに相談する

認定の結果が出たら、ケアプラン(どんな介護サービスを、いつ、どれくらい使うかの計画)を作ってもらいます。頼む先は、結果によって変わります。

ここで「福祉用具を借りたい」と伝えるのがポイントです。ケアマネジャーは、ケアプランに福祉用具のレンタルを入れるとき、本当に必要かを検討し、必要な理由をケアプランに書くことになっています。

「夜中にトイレへ行くとき、起き上がりがつらそう」のように、困っている場面を具体的に伝えると、話が進みやすくなります。

なお、要支援1・2と要介護1の人は、車いすや介護ベッドなど一部の用具を原則として借りられません。品目ごとの条件は「介護保険でレンタルできる福祉用具13品目」にまとめています。

福祉用具専門相談員の訪問とサービス担当者会議

メジャーで部屋の広さを測りながら介護ベッドの置き場所を確かめているイラスト

ケアプランに福祉用具が入ると、福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員が担当につきます。用具を選ぶのは、ここからです。

ステップ3 自宅で体の状態と住まいを確かめ、用具を選ぶ

福祉用具専門相談員は、本人の希望、体や心の状態、住まいの環境を踏まえて、どの用具をどう使うかを考えます。たとえば、ベッドを置く部屋の広さや通り道の段差も、住まいの環境の一つです。

用具を提案するときには、決まった説明があります。

  • その商品の機能・使い方・利用料と、全国平均貸与価格(同じ商品が全国で貸し出されている平均の値段)を、カタログなどの文書を見せて説明する
  • 同じ種類の用具の中から、機能や価格帯の違う複数の商品を紹介する

全国平均貸与価格の説明があるのは、レンタル料が高くなりすぎないようにするためです。国は、貸与価格の適正化のために、平成30年10月から商品ごとに上限を決めていて、上限を超えた値段では介護保険が使えません。

全国平均貸与価格は、同じ商品の「全国の相場」と考えると分かりやすいと思います。

入社して初めて一人で訪問したお宅では、介護ベッドを置く予定の和室を見せてもらいました。部屋の広さを測りながら、ベット位置からトイレまでの導線でふらつきがあるなら、ロングの置き型手すりやべスポジ(突っ張り手すり)などを設置して安全な生活導線の提案をしてみました。

カタログで2つのベッドを見比べてもらったとき、娘さんは「高いほうがいいベッドなんですよね?」と聞かれました。私は、値段よりも、お母さまが自分で起き上がるときに使う機能があるかどうかで選んでほしいとお伝えしました。

転落リスクがあるなら最低床に設定できる介護ベット、専用のボトム(板)で背上げ時に体がズレにくい仕様などベットごとの特徴をカタログを見せながら説明しました。

後日カタログで決めたベットに実際にお母さまに寝てもらってご利用者もご家族様も喜んでいただけました。

ミライ
ミライ

全国平均の値段まで教えてくれるって、逆に「高いのを売りつけられるのかな」って身構えちゃう…。

ススム
ススム

分かる、その気持ち。でもあれは説明しなきゃいけない決まりなんだ。比べるための物差しをもらえる、くらいに思って聞いてみて。

ステップ4 サービス担当者会議で話し合う

サービス担当者会議は、ケアマネジャーがケアプランを作るために開く話し合いです。本人と家族の参加を基本に、ケアプランに入れたサービスの担当者が集まります。福祉用具専門相談員も、その一人として出席します。

ケアプランは、本人の状態を確かめる→計画の原案を作る→サービス担当者会議→本人に説明して同意をもらう→計画を渡す、という順番で作られます。会議は、本人や家族が「この内容で大丈夫か」を、関わる人全員の前で確かめられる場でもあります。

計画書への同意・契約・納品

届いた車いすの高さを調整して使い方を説明しているイラスト

使う用具が決まったら、福祉用具専門相談員から計画書と契約の説明を受けます。その後、用具が自宅に届きます。

ステップ5 福祉用具貸与計画に同意し、契約する

福祉用具専門相談員は、「福祉用具貸与計画」を作ります。計画には、主に次のことが書かれます。

  • 用具を使う目標
  • 目標のために何をするか
  • 使い始めた後に確認する時期

ケアプランを家族旅行の全体の行程表とすると、福祉用具貸与計画は、その中の「移動手段」のページを詳しくしたものです。ケアプランがある場合は、その内容に沿って作ることになっています。

計画の内容は本人や家族に説明され、本人が同意すると、計画書が本人とケアマネジャーの両方に渡されます。

あわせて、事業所の決まりや料金などの重要なことを書いた文書の説明を受け、同意したうえで利用が始まります。分からないことは、このときに遠慮なく聞いてください。

ステップ6 納品・調整・使い方の説明

用具を届けるときには、福祉用具専門相談員が次のことを行います。

  • 届ける用具の機能・安全性・清潔さを点検する
  • 本人の体に合わせて、高さなどを調整する
  • 使い方・注意点・故障したときの連絡先などを書いた文書を渡して説明する。必要なときは、本人に実際に使ってもらいながら教える

車いすを納品したときのことです。お父さまに座ってもらい、足を乗せる台の高さを、膝の角度を見ながら何度か調整しました。ブレーキのかけ方は、言葉で説明するだけでなく、奥さまにも実際に操作してもらいました。

特に車椅子を広げる際指を挟むことが多いので、広げる時は軽く両手を八の字にして真ん中から押し上げたら安全です。実演を混ぜながら説明しました。

当日でいきなり決めるのではなくデモ用品として数日使って頂き、納得してもらってレンタル契約して頂きました。

使い始めてからの見直し

歩行器を使う様子を見守りながらメモを取っているイラスト

介護保険のレンタルは、届いたら終わりではありません。使い始めた後も、福祉用具専門相談員とケアマネジャーが様子を確かめていきます。

ステップ7 モニタリング(定期的な確認)

モニタリングは、計画どおりに用具が使えているかを確かめることです。いつ行うかは、福祉用具貸与計画に書かれています。車の定期点検に、乗る人の体調の確認がついたようなものです。

モニタリングの後は、それぞれ次のことをします。

スロープ・歩行器・歩行補助つえの一部は、レンタルか購入かを選べる用具(選択制の対象)です。これを借りた場合は、使い始めてから6か月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、レンタルを続ける必要があるかを検討することになっています。

選択制のくわしいしくみは「福祉用具のレンタルと購入の違い」で解説しています。

合わない・体の状態が変わったとき

介護保険の福祉用具が原則レンタルなのは、体の状態や要介護度の変化、福祉用具の進歩に合わせて、そのときに合った用具を使えるようにするためです。

モニタリングの時期を待たなくても、本人や家族から頼めば、福祉用具専門相談員が使い方を確かめ、教え直したり修理したりします。「使いにくい」「前より立ち上がりにくそう」と感じたら、福祉用具専門相談員かケアマネジャーに連絡してください。

歩行器を使い始めて1か月ほどたったころ、ご家族から「歩行器の調子が悪い」と電話をもらいました。お伺いすると、歩行器の向きを変えるのに苦労されていました。

確認してみると前輪のキャスターが右は360度方向出来るのに対し、左はキャスターがロックでタイヤの向きが90度しか曲がらないようになっていました。そのことを説明すると家族様は「なんだ、そんなことだったんだ」と笑って安心してくださいました。

この様に調子が悪いと思っても、ちょっとした設定が変わっていることが場合があるので定期的な確認、相談が必要です。

ミライ
ミライ

一回借りたら、ちょっと合わなくても我慢して使うしかないと思ってた…。

ススム
ススム

惜しい!そこがレンタルのいいところなんだよね。「使いにくい」って言ってもらえるほうが、ぼくたちも助かるんだ。

施設に入ることになったときも、入る施設の種類によっては、介護保険のレンタルを続けられなくなります。どの施設で使えるかは、介護施設の種類と違い|10種類を入れる条件と費用で比較で一覧にしています。

認定結果が出る前に借りたいときの注意

カレンダーを見ながら認定結果を待っているイラスト

退院が決まっているなど、認定の結果を待てないこともあります。その場合は、ケアマネジャー(要支援が見込まれる場合は地域包括支援センター)に、暫定ケアプラン(結果が出る前の仮のケアプラン)を作ってもらう方法があります。

認定は申請した日にさかのぼって効力を持つので、申請日からサービスを使えます。

ただし、結果によっては費用の負担が変わります。

特に注意したいのは、車いすや介護ベッドです。要支援1・2と要介護1の人は原則として借りられないため、軽い判定が出ると、例外給付の手続きが必要になります。

この届出の期限は市町村によって違います。たとえば青森市では、軽い判定を想定していなかった場合、結果が出た日の翌週末までに届け出ることになっています。大田区では、遅くともサービスを始めた月の月末までです。

暫定で借りる前に、ケアマネジャーに「もし軽い判定が出たら、この用具はどうなりますか」と確認しておくと安心です。

・まず市町村の窓口か地域包括支援センターで、要介護認定を申請する
・結果が出たら、ケアマネジャー(要支援は地域包括支援センター)に「福祉用具を借りたい」と、困っている場面を添えて伝える
・福祉用具専門相談員の訪問・説明では、複数の商品と価格を見比べ、分からないことはその場で聞く
・使い始めてから合わないと感じたら、我慢せずに連絡する
・認定前に借りるときは、軽い判定が出た場合の扱いを先にケアマネジャーに確認する

参考資料

介護保険でレンタルできる福祉用具13品目

介護保険でレンタルできる福祉用具13品目|要介護度別の早見表
介護保険でレンタルできる福祉用具は13品目。車いすやベッドは原則要介護2から、手すりや歩行器は要支援1から借りられます。品目ごとの中身と要介護度の条件を早見表で整理し、要介護1以下でも借りられる例外のしくみも紹介します。

福祉用具のレンタルと購入の違い

福祉用具はレンタルと購入どっちがいい?違いを解説
介護保険の福祉用具は「レンタル」と「購入」でなぜ分かれるのか、対象品目の違いから支給限度額、現場で聞かれる判断の目安まで、新人福祉用具専門相談員がやさしく整理します。

福祉用具の選定で新人がヒヤッとした失敗談

福祉用具の選定で新人がヒヤッとした失敗談
福祉用具専門相談員になりたての頃、車椅子選定で経験したヒヤッとした失敗談を振り返ります。介護現場で新人が陥りやすい選定ミスと隙間事故のリスク、そこから学んだ確認ポイントを公的データも交えて等身大の目線で綴ります。

本記事は現場での経験や公的資料をもとに作成していますが、内容は個人の見解であり、効果・効能を保証するものではありません。医療的なご判断が必要な場合は、必ず専門職にご相談ください。なお、本記事はAIで下書きを作成したうえで、運営者が加筆・確認しています。

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