福祉用具の選定で新人がヒヤッとした失敗談

福祉用具選定の失敗談、新人のヒヤリハットのアイキャッチイラスト 基礎知識・用語集

福祉用具専門相談員になりたての頃、私は車椅子の選定で一度ヒヤッとする経験をしました。幸い大きな事故にはつながりませんでしたが、今振り返ると「もう一歩気づくのが遅れていたら」と思うことがあります。

この記事では、そのときの状況と、先輩に指摘されて初めて気づいた確認漏れ、そして介護ベッドの隙間事故など公的機関のデータから見えてくる現場のリスクについて、新人だった当時の目線でまとめてみました。

この記事でわかること

  • 福祉用具専門相談員が新人時代につまずきやすい選定業務のポイント
  • 車椅子選定で実際にヒヤッとした経験と、そこから見えた確認漏れ
  • 消費者庁・NITEなど公的データが示す介護ベッドの隙間事故の実態
  • 利用者・家族からよく聞かれる質問と、今の自分が大事にしている選定基準

福祉用具選定、新人時代の漠然とした不安

資料を手に福祉用具の選定を考え込む新人相談員のイラスト

福祉用具専門相談員として働き始めたばかりの私ですが「正解が決まっていない仕事」に戸惑っていました。

学校や研修で学んだ知識はあっても、実際の利用者さん一人ひとりの体格や生活環境、ご家族の希望を前にすると、教科書通りにはいかない場面が次々と出てきます。

福祉用具専門相談員1年目の担当業務

福祉用具専門相談員は、ケアマネジャーが作成するケアプランや利用者・ご家族からの相談内容をもとに「福祉用具サービス計画」を作成し、それに沿って用具を選定・提案する役割を担う、と教わりました。1年目の私は、先輩に同行しながら少しずつ担当を任されるようになっていきました。

「正解のない」選定業務への戸惑い

車椅子ひとつをとっても、座面の高さや奥行き、フットサポートの調整など確認すべき項目は多岐にわたります。利用者さんの状態は日々変化しますし、「この人にはこれが絶対に正解」と言い切れる基準がないことに、新人の頃はとても不安を感じていました。

車椅子選定で見落としたサイズ確認、ヒヤッとした瞬間

車椅子の座面とフットサポートの寸法をメジャーで確認する相談員の手元のイラスト

新人の私は車椅子の選定でヒヤッとした経験をしました。大きな事故には至らなかったものの、確認が足りていなかった部分があったと、今振り返って思います。ここでは、そのときの状況を振り返ります。

利用者の体格だけ見て選んでしまった経緯

私は、限られた情報の中で車椅子を選ばなければならない場面に直面し、確認すべき項目のいくつかを後回しにしてしまいました。

先輩に指摘されて気づいた確認漏れ

その後、先輩に相談したことで、自分が見落としていたポイントに気づかされました。新人のうちは、経験のある人にチェックしてもらう機会がいかに大事かを、この確認漏れを通して痛感した出来事でした。

認知が進んでいるご利用者の方に、標準の自走式の車椅子を選定しました。ただ、その人はフットサポートに足を乗せたまま立ち上がろうとして、転倒しそうなってヒヤッとしました。先輩からは多機能式にしてフットサポートを外せるようにして安全に乗り入れできるようにしたらどうかと指摘されました。

ミライ
ミライ

えー、でも結局『ヒヤッとしただけ』でしょ?実際に事故が起きたわけじゃないなら、そんなに気にしなくてもよくない?

ススム
ススム

そこがポイントなんだって。事故になったケースの裏には、何十倍もの『ヒヤッとしたけど大事に至らなかった』瞬間があるって言われてるんだよ。俺の知り合いの相談員も、ヒヤッとした後に確認のやり方を見直したおかげで、その後何年も大きな事故を出してないってさ。

介護ベッドの隙間事故、公的データが示す実態

介護ベッドの手すりとマットレスの隙間を指差して確認するイラスト(警告アイコン付き)

車椅子だけでなく、介護ベッドにも見落とすと危険につながりうる確認ポイントがあります。ここでは私自身の体験ではなく、消費者庁やNITE(製品評価技術基盤機構)が公表しているデータをもとに、介護ベッド周りのリスクについて整理してみます。

数字を並べるだけだと他人事のように感じられるかもしれませんが、私自身、これらのデータを知ってから、搬入時の確認項目に対する意識がはっきり変わりました。

消費者庁が注意喚起する隙間の事故

消費者庁は、介護ベッドと手すり・サイドレールの隙間に利用者の首などが挟まれる死亡事故が毎年発生しているとして、くり返し注意喚起を行っています。

事故情報データバンクへの報告では、2015年1月から2020年7月末までの間に介護ベッドの手すり等に関する事故が31件報告され、そのうち19件が死亡事故、9件が1か月以上の治療を要する事故だったと報告されています。

事故のパターン別に見ると、「手すりとベッドの間に挟まる」が9件で最も多く、次いで「手すりの隙間に腕が挟まる」が8件、「ベッドと床の間に挟まる」が7件、「手すりとマットレスの間に挟まる」が5件と続きます。こうした状況を受けて、厚生労働省も2020年10月19日付で介護ベッドに関する注意喚起を発出しました。

福祉用具専門相談員の視点で見ると、これらの事故パターンはどれも「搬入時に一度組み立てて終わり」ではなく、利用者さんの体格や用具の組み合わせが変わるたびに再確認が必要な箇所だとわかります。搬入時だけでなく、用具を交換したり調整したりするたびに隙間の寸法を測り直す、という基本動作がどれだけ徹底できているかが、事故を防げるかどうかの分かれ目になっているように感じています。

NITEデータに見る死傷率の高さ

NITE(製品評価技術基盤機構)が2023年8月31日に発表した内容によると、2013年から2023年7月末までに寄せられた電動車椅子・介護ベッドの製品事故通知は合計101件(電動車椅子52件、介護ベッド49件)にのぼり、そのうち死亡49件・重傷32件、死傷に至った割合は全体の約8割に達しています。

電動車椅子は屋外で単独使用している際の転落・転倒が、介護ベッドはベッド周りの隙間への挟まれが、それぞれ主な事故要因として挙げられました。

さらにNITEは2023年3月にも、車椅子(電動を除く)に関する事故防止対策報告書を公表しており、2007年度から2021年度までの間に車椅子関連の事故が228件発生し、そのうち68件が死亡事故だったと報告しています。原因としては転倒や、車椅子から投げ出されるようなかたちの事故が多いとのことです。

数字だけを並べると実感が湧きにくいかもしれませんが、事故通知全体の8割前後が死亡・重傷につながっているという割合は、他の生活用品の事故統計と比べても軽いとは言いにくい水準だと思います。

福祉用具は体に直接触れながら使う道具であるぶん、ひとつの見落としがそのまま身体への負担につながりやすいのかもしれません。だからこそ、選定時のチェックだけでなく、利用を始めた後も定期的に隙間や可動部分を見直す仕組みが必要だと、これらのデータを知ってから強く意識するようになりました。

ミライ
ミライ

でもさ、介護ベッドなんて何十年も前からある道具でしょ?今どき安全にできてないものなの?

ススム
ススム

そう思うよな。でも構造そのものは昔からあまり変わってないんだよ。利用者さんの体格やマットレスを後から変えると、最初は問題なかった隙間が急に危険なサイズになることもある。俺が現場で見た中にも、マットレスを厚手のものに買い替えたタイミングで手すりとの隙間が狭くなってたケースがあったな。

こうしたリスクを踏まえると、隙間を埋める対応品もひとつの選択肢として知っておくと安心です。

新人が選定でつまずきやすいポイント

利用者と相談員がパンフレットを間に挟んで希望を伝え合う対話シーンのイラスト

私自身の経験や、後から知った事例を踏まえると、新人が選定でつまずきやすいポイントにはある程度の傾向があるように感じています。テクノエイド協会が収集している福祉用具のヒヤリハット事例を見ても、車椅子のアームサポートに衣服が引っかかった話や、介護ベッドの操作パネルを利用者さんが誤って触れてしまい、意図せずベッドが昇降した話など、「選定時に気づけていれば防げたかもしれない」ものが目につきます。

アセスメント不足という落とし穴

福祉用具サービス計画は、ケアマネジャーのケアプランや利用者・ご家族からの相談内容をもとに作成するものです。ただ新人のうちはヒアリングの経験が浅く、必要な情報を十分に引き出しきれないことがあります。

「聞いたつもり」「見たつもり」が、後から振り返ると確認漏れだった、というケースは少なくないと感じています。

具体的には、生活動線(トイレや浴室までの距離、段差の有無)、介助者の有無や介助力、住宅の間取りといった情報は、初回のヒアリングだけで完全に把握するのが難しい項目です。

新人のうちは用具のスペックを覚えることに意識が向きがちで、利用者さんの生活そのものを丁寧に聞き取る余裕がなかなか持てませんでした。

先輩たちを見ていると、雑談のような会話の中からさりげなく生活の様子を引き出しているのが印象的で、アセスメントは質問項目をこなす作業ではなく、その人の暮らし全体を理解しようとする姿勢そのものなのだと、次第に気づかされていきました。

新人のうちは、一度ヒアリングして得た情報を「確定情報」として扱ってしまいがちでした。ですが実際には、利用者さんの体調や認知面の状態は数週間単位で変わることがありますし、季節によって生活リズムやご家族の介助できる時間帯も変化します。

訪問のたびに「前回聞いた話と今も同じだろうか」と問い直す習慣がなかったために、選定した用具がしばらく経つと利用者さんの状態に合わなくなっていた、ということもありました。ケアマネジャーから共有されるケアプランの情報と、実際にご本人・ご家族から聞き取る内容との間に微妙なずれがあることも多く、両方を照らし合わせながら確認する大切さを、新人のうちはなかなか実感できていませんでした。

「本人の希望」と「安全」のバランス

利用者さんご本人の希望と、安全面での懸念が一致しないこともあります。見た目のデザインや操作のしやすさを優先したい本人の気持ちと、転倒や隙間への挟まれといったリスクを最小限にしたい専門相談員としての立場が、正面からぶつかることも一度や二度ではありません。

どちらか一方だけを優先するのではなく、両方を丁寧にすり合わせていく難しさを、選定業務を通して感じてきました。

本人の希望を頭ごなしに否定してしまえば信頼関係を損ないますし、逆に希望をそのまま受け入れるだけでは、専門職として安全面の説明責任を果たせません。

このバランス感覚は、マニュアルを読んだだけでは身につかず、実際の場面を重ねるうちに、自然と身についていくものなのだと思います。

どれだけ安全性を説明しても最終的に決めるのはご利用者とご家族様です。なのでこちらは誠実にデメリット、メリットを説明して選択肢を用意して理想の生活を用意する必要があります

利用者・家族からよく聞かれた質問

電話越しに家族からの質問に答える相談員のイラスト

選定の現場に立つようになってから、利用者さんやご家族から繰り返し聞かれる質問がいくつかあることに気づきました。特に遠方に住むご家族からは電話越しに、同居のご家族からは訪問時に、似たような不安を口にされることが多いです。ここでは、その中でも特によく聞かれる2つの質問を取り上げます。

「レンタル用具の点検は誰がするの?」への答え

福祉用具のレンタルでは、貸与事業者側が定期的な点検・整備を行う体制が制度上求められています。具体的には、担当の福祉用具専門相談員が定期的にモニタリング(訪問による使用状況の確認)を行い、用具の摩耗や不具合、隙間の状態などをチェックする流れが一般的です。

利用者やご家族が自分で分解点検をする必要はなく、不具合や気になる点があれば、まずはレンタルを担当している事業所や福祉用具専門相談員に連絡してもらうのが基本的な流れになります。

とはいえ、モニタリングの頻度は用具の種類や利用者さんの状態によって異なりますし、次の訪問予定日まで日数が空いてしまうこともあります。「次の点検まで待たなければいけないのか」と聞かれることもありますが、異音がする、動きが急に悪くなった、隙間が広がった気がするといった、緊急性が高いと感じる不具合については、定期訪問を待たずに連絡してもらって構わないとお伝えするようにしています。

小さな違和感でも早めに共有してもらうことが、結果的に大きな事故を防ぐことにつながると考えているからです。

家族から寄せられる隙間・安全への不安

特に離れて暮らすご家族からは、「介護ベッドの隙間は大丈夫か」「今使っている用具に危険はないか」といった質問をよく受けます。

消費者庁やNITEのデータでもたびたび取り上げられているテーマだけに、不安に思われるのは自然な反応だと感じています。

こうした質問を受けたときは、隙間を埋める対応品(すきまパッドなど)の有無を確認したり、実際に自宅を訪問して手すりとマットレスの位置関係を目視で確認したりするようにしています。

電話だけでは正確な状況が伝わりにくいこともあるため、気になる点があれば遠慮せず担当の相談員に確認してもらい、必要であれば訪問して実物を見てもらうことをお勧めしています。

歩行器の小回りが悪い、ベッドの3モーターはいらなかったなど、使っていて気付くことがあります。

必要なら交換対応して、新しい課題が見つかったと新しい提案をして新規につなげて売り上げを貢献しながらケアマネとご利用者の信頼関係につなげていきます。

ミライ
ミライ

でもさ、隙間があるかないかなんて、素人が見てもピンとこなくない?どのくらいの隙間だと危ないの?

ススム
ススム

そこなんだよな。数字だけ覚えても、実際の隙間って光の加減とかで意外と目算を誤りやすいんだ。だから訪問したときは必ずメジャーを当てて実測するようにしてる。『目で見て大丈夫そう』が一番危ういサインだって、先輩にもよく言われたよ。

あの失敗から学んだ、今の選定基準

チェックリストを手に車椅子と介護ベッドの前で確認作業をする相談員のイラスト

新人時代のヒヤッとした経験や、公的データから見えてきた事故の実態を踏まえて、今の私が選定の際に大事にしていることをまとめます。

確認リストを自分の中に持つようになった理由

あの経験以来、車椅子や介護ベッドを選ぶ際には、体格や生活環境だけでなく、隙間や可動部分の安全性まで含めて一つひとつ確認するよう意識しています。

頭の中にチェックリストのような基準を持っておくことで、思い込みによる確認漏れを減らせるようになった、という手応えがあります。

特に、搬入前と納品後の二段階で確認する習慣が身についたことは、自分の中で一番の変化だと思っています。

専門相談員としてこれから大事にしたいこと

福祉用具の選定に「絶対の正解」はないからこそ、利用者さんご本人やご家族の声に耳を傾けながら、公的データや先輩からの学びも踏まえて判断していく姿勢を大事にしていきたいと考えています。

具体的には、選定した時点で確認を終わりにせず、モニタリングのたびに隙間やブレーキ可動部分をあらためて見直すこと、判断に迷ったときは一人で抱え込まずに先輩やケアマネジャーなど他職種に相談すること、そして利用者さんやご家族から寄せられる小さな違和感を「気のせいだろう」と片付けないこと、この三つを自分の中の基準にしています。

まだまだ先輩たちのようにはいきませんが、小さな違和感を拾える相談員でありたいという気持ちは、新人時代のあのヒヤッとした経験があったからこそ持てているものだと思います。

・新人時代のヒヤッとした経験から、体格や生活環境だけでなく隙間や可動部分まで含めて確認するようになった
・搬入前と納品後の二段階チェックが、自分の中で一番の変化になった
・消費者庁・NITEのデータからも、搬入後の再確認の大切さがわかる
・判断に迷ったときは一人で抱え込まず、先輩や他職種に相談する

選定に迷ったときや、レンタル中の用具について相談できる窓口を探している方は、こちらもあわせてチェックしてみてください。

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本記事は現場での経験や公的資料をもとに作成していますが、内容は個人の見解であり、効果・効能を保証するものではありません。医療的なご判断が必要な場合は、必ず専門職にご相談ください。なお、本記事はAIで下書きを作成したうえで、運営者が加筆・確認しています。

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