これから介護ベッドが必要になりそうだけど、「特殊寝台」という言葉の意味がよく分からない——そんな方に向けた記事です。
ケアマネジャーや福祉用具専門相談員との会話で急に出てくるこの言葉、実は難しいものではありません。
何が「特殊」なのか、普通のベッドとの違い、レンタルの条件や料金の目安まで、新人の目線でひとつずつ整理します。
「特殊寝台」ってそもそも何?

正式には「介護ベッド」「電動ベッド」とも呼ばれる
「特殊寝台」は介護保険制度上の正式名称で、一般的には「介護ベッド」「電動ベッド」「ギャッチベッド」といった呼び方の方が馴染みがあるかもしれません。
呼び方が違うだけで、指しているものは同じです。
何が「特殊」なのか——ポイントは2つと付属品
特殊寝台?普通のベッドと違い何が特殊なの?と思うでしょう。大きく違うのは2つの箇所がリモコンで調整できるのが大きな特徴です。
- 背中や脚の傾斜角度を調整できる(背上げ・脚上げ)
- 床板(マットレスを乗せる部分)の高さを調整できる
特殊寝台付属品
その他に特殊寝台付属品というものがあります。簡単に言うとベッドの周りのオプション商品です。
- サイドレール
- 転落を防止する
- サイドテーブル
- ベッド上で安楽な姿勢で軽作業、食事ができるサイドテーブル
- マットレス
- 硬さや通気性、防水性など多種多様
- 介助バー
- ベッドの起き上がりや立ち上がり・移乗を支えるベッド用手すり
この特殊寝台と特殊寝台付属品を組み合わせて、高齢者や介護者をサポートしていきます。
普通のベッドとの違いを比べてみる

普通のベッドは寝る場所を提供するだけですが、特殊寝台は「起き上がる・立ち上がる・介助する」という一連の動作をサポートする道具です。
自力で起き上がるのが難しい方の自立支援と、介助する家族の身体的負担の軽減、両方の役割を持っています。
福祉用具専門相談員の中で最も需要がある用具の1つです。

え、ベッドなんてどれも同じじゃないの?寝られればいいんでしょ?

いやいや、そこが違うんだって。特殊寝台は『起き上がる』とか『介助する』ところまで手伝ってくれる、いわば“動けるベッド”なんだ

動けるベッド……なんかロボットみたい

あ、電動なのは間違いないね
1モーター・2モーター・3モーターの違い

特殊寝台は、内蔵されているモーターの数によって機能が変わります。モーターが多いほど価格・レンタル料金は上がりますが、その分できることも増えます。
| タイプ | できること | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| 1モーター | 背上げのみ | 自力である程度起き上がれる方 |
| 2モーター | 背上げ+膝上げ、または背上げ+高さ調整 | 背上げ時のずり落ちが気になる方、介助の負担を減らしたい方 |
| 3モーター | 背上げ+膝上げ+高さ調整すべて | 寝たきりに近い方、頻繁に介助が必要な方 |
現場では、「とりあえず一番機能が多いものを」と考えるご家族が意外と多いということです。
ただ、ご本人の身体の状態を確認してみると、1モーターで十分な方も少なくありません。僕が判断の目安として先輩から教わったのは、「自力で寝返りや起き上がりがどこまでできるか」をまず見ること。
そこを確認せずに機能だけで選んでしまうと、レンタル料金だけが上がって、使わない機能が付いている……ということにもなりかねません。

モーター3つも付いてるなら、とりあえず一番多いやつ選んどけばいいんじゃない?

そう単純でもないんだよね。モーターが多いほどレンタル料金も上がるから、その人の身体の状態に合ってないと、機能を持て余しちゃうこともあるんだ

なるほど……高い車を買っても、運転しなきゃ意味ないもんね

たとえが独特だけど、まあそういうこと
介護保険でレンタルできる条件

原則、要介護2以上が対象
特殊寝台は介護保険の「福祉用具貸与」の対象品目ですが、誰でもレンタルできるわけではありません。原則として、要介護2以上の認定を受けている方が対象です。要支援1・2、要介護1の方は、原則として介護保険を使ったレンタル対象になりません。
要支援1・2、要介護1でも使える例外がある
ただし、医師の意見などをもとに一定の条件を満たすと認められた場合は、要介護1以下でも例外的にレンタルできる制度(例外給付)があります。対象になるかどうかは自己判断せず、担当のケアマネジャーに確認するのが確実です。
また、福祉用具の会社によっては自費レンタル(介護保険使わないレンタル)サービスがある所もあるのでその点も聞いてみるといいでしょう。
レンタル料金の目安
介護保険を使う場合、自己負担割合(多くの方は1割)に応じて、月額のレンタル料金の目安は次の通りです(10割負担の場合の金額と、1割負担時の目安を併記します。実際の金額は事業者や地域によって差があります)。
| タイプ | 10割負担の目安(月額) | 1割負担時の目安(月額) |
|---|---|---|
| 1モーター | 7,000〜9,000円程度 | 700〜900円程度 |
| 2モーター | 10,000〜13,000円程度 | 1,000〜1,300円程度 |
| 3モーター | 13,000〜16,000円程度 | 1,300〜1,600円程度 |
※所得によっては自己負担が2〜3割になる場合があります。正確な金額は契約する福祉用具貸与事業者にご確認ください。
代表的な特殊寝台
楽匠Fit:ボトム機能で背上げ時の身体のズレを抑える
Emi(エミ):背上げだけじゃなくて頭部も調整可能で安楽!
現場で感じた「選ぶときに大事なポイント」

モーターの数以外にも、実際にお部屋に伺うとチェックしていることがあります。たとえば、ベッドを置くスペースに対して介助のために回り込むスペースが十分にあるか。
それから、介助されるご家族の身長や腰の状態も必ず伺うようにしています。高さ調整の機能は、実はご本人よりも介助するご家族の腰痛予防に役立つことが多く、この話をすると「そういう視点は考えていなかった」と言っていただくことがよくあります。
特殊寝台(介護ベッド)の使用状の注意
また、ご利用者、ご家族様にもベッドの取り扱いに注意する必要があります。購入、レンタル時に業者や福祉用具専門相談員から説明されるとは思いますが、頭に入れておきましょう。
- ベッドの下になにも置かない
- 高さ調整中に下に置いたものやベッドフレームが壊れる可能性があります。レンタルなら最悪弁償問題になる可能性もあるかもしれません。
- サイドレールの間に手を入れてリモコン操作しない
- ほぼセットで利用するサイドレールの柵の間に手を入れてリモコン操作すると手が挟まったケガする可能性がある。リモコンは必ず胸元に持って行って操作しましょう。
- リモコンのボタン側を柵の内側に向けない
- 寝返りでボタンを押して、背上げして転落、ケガの可能性があります。リモコンは柵の外側に必ずかけておきましょう。

本人が使いやすければ、それで一番よくない?

本人はもちろんなんだけど、実は介助するご家族の腰への負担とか、部屋のスペースも結構大事なポイントなんだよ

え、ベッド選びって本人だけの話じゃないんだ

そうなんだよね。そこが特殊寝台選びの奥深いところ、あと取り扱いにも注意しよう。
・「特殊寝台」は、背上げ・脚上げ・高さ調整が無段階にできる介護ベッドのこと
・モーター数(1〜3)によって、できることとレンタル料金が変わる
・介護保険でのレンタルは原則要介護2以上。要介護1以下でも例外給付がある場合は担当ケアマネジャーに確認を
コメント